【プロが教える】アスファルト舗装の“接着剤”「乳剤」とは?タックコートの重要性

道路のアスファルトが、古い層と新しい層、何層にも重なっているのに、なぜ簡単には剥がれないのか不思議に思ったことはありませんか?その秘密は、層と層を強力に繋ぎとめる「タックコート」という工程と、そこで使われる「アスファルト乳剤」という、特殊な“接着剤”にあります。


今回は、舗装の寿命を左右すると言っても過言ではない、この目に見えない“縁の下の力持ち”について、プロの視点から解説します。


アスファルト乳剤とは?舗装工事における「接着剤」の役割


アスファルト乳剤(にゅうざい)とは、通常は常温で固まっているアスファルトを、水の中に微粒子として分散させた、茶色い液体のことです。これを散布し、水分が蒸発すると、アスファルトの粒子だけが残り、強力な接着膜を形成します。


舗装工事では、主に2つの層の間、例えば古くなった既存のアスファルト層の上や、路盤(砕石の層)とアスファルト層の間などに散布されます。この乳剤が、それぞれの層を一体化させ、ズレや剥がれを防ぐ、極めて重要な「接着剤」の役割を果たしているのです。


舗装の寿命を決める「タックコート」の重要性

このアスファルト乳剤を散布する工程のことを、専門用語で「タックコート」と呼びます。この工程が、舗装全体の耐久性と寿命を決定づける、非常に重要なステップです。


もし、このタックコートが不十分だとどうなるでしょうか?

上下のアスファルト層は接着されていないため、ただ単に「重なっているだけ」の状態になります。その上を車が通行し、ブレーキやカーブで強い水平方向の力がかかると、上の層が下の層の上を滑るようにしてズレてしまいます。このズレが、ひび割れやポットホール(路面の穴)といった、道路の重大な損傷に直結するのです。


見た目には分からなくても、タックコートが適切に施工されているかどうかは、その道路が10年後、20年後も健全な状態を保てるかを左右する、まさに生命線と言えます。


散布不足と過剰散布。どちらもNGな理由

タックコートは、ただ乳剤を撒けば良いという単純な作業ではありません。その量には「最適値」があり、多すぎても少なすぎても、舗装の品質を著しく低下させてしまいます。


散布不足の場合

言うまでもなく、接着剤の量が足りなければ、層同士は十分に接着されません。部分的にしか接着していない「まだら」な状態になり、早期の剥離やひび割れの原因となります。


過剰散布の場合

意外に思われるかもしれませんが、乳剤が多すぎると、それは接着剤ではなく「潤滑剤」として作用してしまいます。余分な乳剤が層の間に残り、かえって層と層の間を滑りやすくしてしまい、舗装の強度を著しく低下させるのです。


均一な膜を、適切な量で、ムラなく散布する。この一見単純に見える作業には、機械の調整能力や、その日の天候・気温を読む経験といった、熟練した職人の技術が凝縮されています。


まとめ:私たちは、見えない部分の仕事にこそ、誇りを持っています

多くの人が普段目にしているのは、きれいに仕上げられたアスファルトの表面だけです。しかし、その美しい仕上がりが長持ちするかどうかは、その下に隠された、タックコートのような「見えない仕事」の質によって決まります。


私たちは、この見えない部分の仕事にこそ、プロとしての誇りを持っています。基礎を疎かにせず、一つひとつの工程に妥協しない。その実直な仕事の積み重ねが、最終的に地域の皆様の安全・安心に繋がると信じているからです。このこだわりこそが、私たちの品質の証です。



このこだわりに、共感してくれる仲間を募集しています。

この記事で解説した「タックコート」は、私たちの仕事のほんの一例です。私たちは、すべての工程において「なぜ、これが必要なのか」という本質を理解し、実践することを大切にしています。


もしあなたが、ただ作業をこなすだけでなく、その仕事の奥深さを学び、本物のプロフェッショナルを目指したいと考えているなら。

あるいは、私たちのこのこだわりに共感し、ご自身の経験をさらに高めたいと考えているなら。


ぜひ一度、お話を聞きに来てください。私たちは、あなたの挑戦を待っています。


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